投稿日:2016.02.26
歩きたくないと駄々をこねている幼児の手を引っ張った時、または車道に飛び出しそうになった幼児の手を摑まえて引っ張った時…突然泣き出し手を動かさなくなる…。
この様なケースでは小児肘内障(近位橈尺関節亜脱臼)かもしれません。
◆症状◆
幼児の肘が抜けた…。と言われる状況です。肘関節が伸びている状態で手を引っ張られた際に前腕部に回内動作が加わった際に前腕(肘から手首)の2つの骨(橈骨と尺骨)を肘側で繋いでいる靭帯(輪状靭帯)から橈骨頭がくぐりぬけてしまう事があります。
その際、受傷した子は、怪我をした方の手をだらんと下げ全く動かそうとしなくなります。
◆肘関節の構造◆
肘関節は、上腕骨・橈骨・尺骨の3つの骨で構成されます。今回紹介している肘内障は、その中の橈骨と尺骨が関与します。肘関節付近では輪状靭帯という文字通り輪っかの様な靭帯が尺骨に橈骨を結びつけているような状態になっています。
◆原因◆
大人になれば、通常橈骨の端(橈骨頭)が出来上がっている為、橈骨が輪状靭帯から抜け出るという事はありません。ただし、まだ発育段階の幼児期ではこの橈骨頭が小さく強く手を引っ張られた際などに橈骨頭で輪状靭帯が引っかからずに橈骨が抜け出てしまうことがあるのです。
◆治療◆
通常、徒手整復で簡単に整復可能です。整復が終われば、痛みもなくなりすぐに動かすことも可能です。整復後の固定は特に必要性が無く、2~3日の間、三角巾でつっておくだけでもよいとされています。
※ただし…小児肘内障は、その名の通り、ほとんどが小児期に起こる為、2~3日の三角巾ですらつけていることは難しく、すぐに固定が出来なくなるケースが多いです。
◆補足◆
整骨院でも、年に数件の小児肘内障の子がやってきます。接骨院の先生が最も子供に嫌われる瞬間です(笑)
治療方でも少し述べましたが、亜脱臼の整復自体は比較的簡単なため、小児肘内障の子のうちの何人かは受傷から来院までに自然に整復されていることもあります。服の着せ替えの際、親御さんが抱き上げる際、車に乗っている時の振動などで…。
しかし、亜脱臼の整復が終わっても、痛がって腕を全く動かそうとしない子も意外に多くいます。初めての痛みで怖くなって手を動かせなくなるのです。ほとんどの場合は、おもちゃなどで遊んでいる間に、本人も気づかないうちにケガをした方の手も使うようになります。
◆予防法◆
原因でも述べたようにほとんどは強く手を引っ張られた時に発症します。慌てて手を強く引っ張らないことが重要です。その為、外を歩く際などは前もって安全確保をするように心がけましょう。
また、手をしっかり握っていることで亜脱臼が起こりにくくなる場合もあります。図の様に人差し指と中指をお子さんに握らせることで握る癖をつけてあげましょう。
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やすらぎ整骨院